ジョナサン・キャロルの大傑作『天使の牙から』ISBN:4488547117、ついに文庫版で登場。
amazonで暴騰していた単行本の中古価格もこれで落ち着くでしょう。

解説を米光一成が書いています。好きすぎて肩に力入りすぎた気もするんだが、それぐらい好きなんだしょうがない。鼻血出しながら書きました。がががが。

ちょっと、解説最初の部分を引用。


 魂が揺さぶられる小説。そんなものに、そうそう出会えるもんじゃない。
 ぼくにとって、そんな小説を書く作家のひとり、ジョナサン・キャロル。揺さぶられるどころではない。
 キャロルは、怖がらせるために怪異を出現させたり、驚かせるためにトリックをしかけたりしない。そこに在るから、それを描写する。だから、出てくるものは怪物なんかじゃない。
“悪魔は存在しない。あるのは生と死だけさ。単純すぎて、誰も信じたがらなかっただけで。(『天使の牙から』P245)”
 説明ではなく、描写の積み重ねで。幸せな気持ちを共感の入り口にして、キャロルは我々を問答無用の力で物語世界に引きずり込み、それを、体感させる。登場人物ひとりひとりの行動や言葉から、良い所も欠点もふくめて、どんどん、彼/彼女たちを好きになっていく。まるで旧知の友のアルバムを見ているような気持ち。魅惑的で幸福な世界を描き尽くし、その世界から読者が抜け出したくない気持ちにさせながら、ちらりちらりと異形の何かを見せ始める。

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